心積りノート考え方・書き方編
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36解 説害のほうが大きいから、 おすすめできません」 と判断することが多くなります。 以下では、大まかな心積りをします。実際に積極的な医療をするかどうかを考えなければならない状況になった場合には、改めて治療がもたらす益と害をより具体的に考えた上で、決めてください。例えば、身体の衰え、治療の効果、後に残る辛さとその対策等について、担当の医師に相談し、また医療・ケアチームと話し合う中で、ご自分の判断を提示して、意見を求めることをおすすめします。ご家族とも話し合ってみてください。高齢による身体の衰えの影響についての、これまでの説明を参考にした上で、ご自身の生き方や価値観、 人生の事情を考えながら、 どこまで受けるかをお考えください。[記入の仕方]① 次頁の記入例中、手書きの矢印が描かれている帯状の部分は、 上のグラフの「壮健」から「全介助&壮年期までは、何らかの生命にかかわるような疾患にかかったり、事故に遭ったりした時に、可能な限り回復を目指します。その際、快適な人生ができるだけ長持ちすることを目指した積極的な治療を選択しようとしますが、長持ちのために、快適さがある程度下がることはやむを得ないと考えてもいます。例えば、上記の例のように、声帯を切除し、声が出せなくなっても、がんの再発をできるだけ防ぎ、人生が長持ちするほうがよいと考えるわけです。高齢になっても、まだ元気なうちは壮年期と同様の治療を受けるのがよい、と周囲の者は思うでしょう。本人も、積極的な治療がもたらす後遺症等を恐れて、最初は嫌がるとしても、よく考えて「仕方がない」と思うようになるのが一般的ではないでしょうか。ただし、いくら元気でも、非常に高齢になっておられる方は、「もうこの歳になってそんな辛い生活を送りたくない。十分生きたし、あとは静かに余生を過ごせば十分です」と考える場合もあるでしょう。老化のために身体全体が衰えてくると、治療がもたらすプラスの効果とマイナスの効果を比べ、かつ、人生の残り時間の見込みや、マイナス面の影響を考え、「そういう辛い結果が残る治療はもうしなくていい」と思うケースが増えるでしょう。さらに老いが進むと(「老いの進み方」の全介助以上)、 医学の専門家のほうが、 「この治療は益よりもプラスとマイナスを考え合わせることはいつも必要です。上の例で春山さんは手術を避けましたが、もし手術をしなかった場合に、首の周辺の腫瘍が大きくなり、崩れて、喉のあたりが辛い状態になり、臭いもあって苦痛が大きくなるおそれがあるとしたら(つまりマイナス面が大きい)、選択は今回とは違ってきたかもしれません。ご自分の場合を考えてみましょう次のページの図を見ながら以下の説明を読んで、「記入編」P8にご自分の心積りを記入してみてください。

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