心積りノート考え方・書き方編
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49☆「できるだけのことはして欲しい」と同様の思いは、次のような発言となることがあります。● 生命維持をして生き続けられるなら、やらねばならない● 急変時には救急車を呼べば安心だ● 最期は病院で手厚く(できることは全部やる)● こんなに悪い状態なのに、入院させないでおくのか?点滴もしてもらわないのか?これらは、「できるだけのことはしてください」と並んで、医療に対する大きな期待を示すことばです。しかしながら、本ノートのこれまでの説明にもありましたが、医学を基礎にした積極的な治療は、いつでもしたほうがいいとは限らないこと、医療側で「ここまで衰えてきている場合は、やるとかえって本人を辛くすることになりますよ」と思っている場合もあることを、ここで今一度確認しましょう。付記すると、人間関係の経緯にもよりますが、本人が受ける治療について口出しできる立場であり、事情が許せば自分も本人の世話をする立場だと思っている人で、遠くにいるとか仕事が忙しいといったことで協力できないことに内心痛みを覚えているような人ほど、「できるだけのことはしてください」と主張する傾向があるように思われます。これは「本人にとって最善のことは、できるだけのことをすることだ」という誤解に基づくもので、こう主張することで、本人にとって最善のことをすることに自分も助力したと思いたい場合が多いように思われます。そういう立場にご自身がたった場合に、本人にとって最善のこと ≠ できるだけのことをするという点を肝に銘じて振舞うことが望まれます。

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