60フレイルの説明について、より詳しく、または精確に知りたい読者のために、以下に引用しておきます。本冊子22-23頁でフレイルについて説明しましたが、フレイルの定義等について、医学の専門用語を使わない要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態で、筋力の低下により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなるような身体的問題のみならず、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念」である。身体的フレイルは老化・老衰の科学といえるだろう。フレイルは、従来、年齢で判断されがちであった老年に特徴的な諸問題に関して、年齢とは独立した予測因子となることが次第に明らかにされ、注目されている。フレイルの有無と程度に関しては個人差が大きいため、何歳からそれが顕著になると一概にはいえないが、加齢によってリスクは増大し、80歳以上で顕著になると報告されている。2013年に発表された国際的なフレイル・コンセンサス会議の報告によると、フレイルは身体的また は心理的あるいはその統合型であり、時間の経過に伴い悪化するが、一部改善もありうる動的な状態である。今後の高齢者医療とケアにとって重要な概念になると考えられており、世界中で盛んに研究が進められている。本冊子26頁に、認知症が伴う場合のフレイルの程度をどう考えるかを説明した際に引用した文書の当該箇所を次に訳出ししておきます。26頁で説明したように、学界の評価が定まっていないので、あくまでも参考にとどめてください。認知症がある場合、フレイルの程度は通常認知症の程度に対応する● 軽度の認知症mild dementia 最近の出来事をおおまかには記憶しているが、細部について忘れている。同じ質問や話を繰り返す。社会的つながりから離れてしまう。● 中等度の認知症moderate dementia 最近の記憶は相当壊れているが、昔のことはよく覚えているように見える。指示してもらえば、自分の身の周りの世話ができる。● 重度の認知症severe dementia 助けなしには、自分の身の周りの世話ができない。(会田薫子2015 より ⇒p61参考文献3)(John E Morley et al 2013, Fig.1. ⇒p61文献6)1. フレイルについてと精確に記述することが難しいのです。そこで精確に知りたい方のために、本文の説明を補う説明を引用します。フレイルとは「高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、2. 認知症が伴う場合のフレイルのスケール参考資料
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