呼吸器を外せば、死んでしまう。だから医療従事者の多くは、呼吸器をつけない判断はできても、いったんつけたら外せないと考える。外したら殺人罪に問われる怖れがあるからね。
それはおかしい。つけ続けて患者を苦しめ続けることは罪に問われず、外して苦しみを終わらせることは罪に問われる、と思い込んでるってことだよね。法を杓子定規に理解しすぎ。直近の死をもたらす選択をしたことで、日本で裁判沙汰になった例は、いずれも私たちから見ても不適切なやり方をしているから、有罪になるのは仕方がない。でも、私たちから見れば適切な生命維持の中止が裁判で有罪になるのか?机上の法律家は罪に問われる怖れがあると言うけど、現実に即して考える法律家は、適切なプロセスをたどった結果なら、違法にはならないだろうと判断する。
たとえば、「川崎協同病院事件」では、客観的に終末期とはいえない昏睡状態の患者に対して担当医師が終末期と判断し、気道を確保していたチューブを抜いた。でも患者が苦しそうだったから、筋弛緩剤を注射し、患者を死なせた。この事件は最高裁まで行き、呼吸器を外すことが「法律上許される治療中止には当たらない」という理由で、有罪になっている。この判決では、治療を中止することで死なせたことが許されない、とされているのではなく、許される場合があるということなんだよ。
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